平成29年度 松本市立病院 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 363 53 112 235 159 177 355 583 652 385
 松本市西部地域に唯一設置された総合病院である当院は、西部地域の基幹病院として、質の高い医療を幅広い年齢層の患者さんに提供する役割を担っています。
 当院は松本市街地から少し離れた高齢者の多い地域に立地しているため、60歳以上の患者さんの占める割合が6割を超えており、年々増加しています。全国的には70歳代の患者さんが最も多くなる傾向にありますが、当院では症状が比較的重症になりやすい80歳代の患者さんが最も多くなる傾向にあります。
 また、救急医療や周産期・小児医療も充実しているため、10歳未満及び20~30歳代の患者さんが多いことも当院の特徴の一つであり、赤ちゃんから高齢者まで地域住民の生涯にわたって医療を提供しています。
 平成28年度のデータと比較して、年齢階級の分布に大きな変化はみられません。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 100 25.02 20.83 5.00 85.35 誤嚥性肺炎
050130xx99000x 心不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 95 23.73 17.71 4.21 84.64
100380xxxxxxxx 体液量減少症 46 10.54 9.16 2.17 82.46
110310xx99xx0x 腎臓または尿路の感染症 手術なし 定義副傷病 なし 41 17.27 12.34 0 83.00
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 32 16.47 10.61 0 82.44
 内科患者の半数以上は、80歳以上の高齢者が占めています。加齢性変化による身体機能の低下によって発症する疾患が多く「誤嚥性肺炎」や「心不全」の件数が多くなっています。当院に入院される患者さんは、複数の疾患を抱える方が少なくありません。生活環境に悩みを抱える世帯も多く、「医療」という立場で地域に積極的に関わりながら、いかに患者さんの生活の質を担保していくのかが大きな課題となっています。上位5疾患の平均在院日数が全国平均より長いのは、高齢の患者さんの状態管理の難しさに加え、退院後の生活環境の準備等、医療以外の要因も影響しているためです。次第に高齢化が進む松本市等において、在宅医療を含めた内科的ケアの質の重要性は益々高まっていきます。今後も引き続き患者さんの症状や訴えに真摯に向き合いながら、安心できる医療サービスの提供に努めていきます。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞 手術なし 手術・処置等1 なし 32 8.03 8.98 0 71.3
060150xx99xx0x 虫垂炎 手術なし 定義副傷病 なし 20 6.40 7.01 0 46.10
090010xx99x9xx 乳房の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 9あり 19 6.47 6.78 0 74.53
110310xx99xx0x 腎臓または尿路の感染症 手術なし 定義副傷病 なし 17 19.29 12.34 0 80.00
150010xxxxx0xx ウイルス性腸炎 手術・処置等2 なし 13 4.15 5.50 0 61.92
 最も多い症例は「腸閉塞の保存加療」です。この病気は、何らかの原因により腸内容の通過が妨げられることで起こります。治療はチューブなどを使った保存的治療を選択することが多いです。腸管の血行障害を伴う重篤な腸閉塞に対しては、手術を行う場合もあります。
 2番目に多い症例は「虫垂炎の保存加療」です。いわゆる「盲腸」とも呼ばれる疾患で、抗菌薬の点滴投与により改善が見込める場合は手術を行いません。しかし、虫垂に膿が溜まり穴が開くなど重症化してしまうと手術が必要となります。平均年齢が46歳と若いですが、高齢者の方でも発症します。
 3番目は「乳がんの化学療法」です。乳がんはその性質や進行度によって様々な治療法が選択されます。当院には乳がんを専門に診療する医師がおり、手術のほか他の医療機関と連携して放射線治療等も行っています。
 4・5番目の「憩室炎」、「尿路感染症」の保存加療は、抗生剤を用いて原因菌による発熱・炎症所見の治療に当たります。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140010x199x00x 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 94 7.18 6.18 0 0
040090xxxxxx0x 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) 定義副傷病 なし 40 5.98 5.94 5.00 0.63
100393xx99xxxx その他の体液・電解質・酸塩基平衡障害 手術なし 37 4.03 10.05 5.41 6.46
040100xxxxx00x 喘息 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 28 5.57 6.32 10.71 2.57
040070xxxxx0xx インフルエンザ、ウイルス性肺炎 手術・処置等2 なし 27 4.93 6.03 3.70 3.19
 当院は年間400件以上の分娩を取り扱っているため、小児科で最も多い症例が「新生児疾患」となっています。新生児疾患には、新生児黄疸、母子感染、新生児一過性多呼吸、早産児、低出生体重児などが含まれています。小児科では、産科とともに、安心・安全な周産期医療の提供に努めています。
 他に多い症例としては、「急性気管支炎や肺炎などの呼吸器感染」、「ケトン血性嘔吐症(自家中毒、周期性嘔吐症)」、「気管支喘息」が挙げられます。急性気管支炎や肺炎は、ウイルス感染によるものが多く、その中でもRSウイルスによるものが一番多くなっています。
産科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120260xx01xxxx 分娩の異常 子宮破裂手術等 46 9.93 9.67 0 34.24
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 子宮全摘術等 41 10.29 9.75 0 32.49
120170xx99x0xx 早産、切迫早産 手術なし 手術・処置等2 なし 36 14.94 20.41 8.33 31.00
120140xxxxxxxx 流産 19 1.58 2.43 0 32.26
120180xx99xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 手術なし 19 3.00 6.70 5.26 29.79
 産科で最も多い症例は、胎児機能不全などに対する「緊急帝王切開」と逆子や前回の分娩が帝王切開だった方に対する「予定帝王切開」です。約4人に1人が帝王切開による分娩となっています。
 次に多いのが、「切迫早産」です。切迫早産とは、妊娠22週以降から37週未満の間に分娩が始まりかけている状態をいいます。入院期間は患者さんの状態によるため、個人差があります。
 次いで「流産」、「胎盤機能不全症や前期破水など」となっています。
当院では年間400件以上の分娩を取り扱っており、小児科とともに安心・安全な周産期医療の提供に努めています。必要に応じて高次医療機関に転院することもあります。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160690xx99xx0x 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし 定義副傷病 なし 16 30.63 19.94 0 77.25
070350xx01xxxx 椎間板変性、ヘルニア 内視鏡下椎間板摘出(切除)術等 14 13.79 10.54 0 50.21
070343xx97x0xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 その他の手術あり 手術・処置等2 なし 13 17.08 17.28 0 72.08
160800xx99xx0x 股関節大腿近位骨折 手術なし 定義副傷病 なし 13 46.46 15.22 23.08 85.77
160760xx97xx0x 前腕の骨折 手術あり 定義副傷病 なし - - 5.21 - -
※症例数が10件に満たない項目については、規程により数値を掲載していません。

 整形外科で最も多い症例は「股関節大腿近位骨折」ですが、手術後リハビリテーション科へ転科するため、リハビリテーション科にて集計されています。
 次に多いのが脊椎の疾患で、「圧迫骨折」や「椎間板ヘルニア」、「脊柱管狭窄症」などです。神経が圧迫されることにより腰痛や脚のしびれ、感覚の障害が引き起こされます。重症の場合には手術が必要となることもありますが、当院には脊椎専門医がおり、内視鏡を使った患者さんに負担の少ない手術など、年齢や症状に適した治療を提供しています。
 全般的に在院日数が全国平均よりも長くなる傾向にありますが、当院は高齢者が多いこと、高齢者の回復はゆっくりなことが原因として考えられます。
リハビリテーション科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節大腿近位骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 20 68.75 27.09 5.00 83.40 大腿骨折観血手術
160690xx99xx0x 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし 定義副傷病 なし 13 43.85 19.94 0 85.31
160820xx99xxxx 膝関節周辺骨折・脱臼 手術なし - - 20.06 - -
160800xx99xx0x 股関節大腿近位骨折 手術なし 定義副傷病 なし - - 15.22 - -
160980xx99x0xx 骨盤損傷 手術なし 手術・処置等2 なし - - 19.97 - -
※症例数が10件に満たない項目については、規程により数値を掲載していません。

 リハビリテーション科は、入院患者が社会復帰するに当たり、継続的なリハビリが必要と判断された際に、専門的な治療を行う診療科です。当院では、主に整形外科・脳神経外科の症例に対して治療を行っています。疾患や患者の状態によりますが、整形外科症例では最大90日、脳神経外科症例では最大180日に渡って継続的なリハビリ治療を提供しています。
 1番目と4番目に多い疾患に、「大腿骨骨折の手術」症例と、「大腿骨骨折の保存療法」症例が入っています。転倒を契機に整形外科に入院し、手術など急性期治療を終えたら集中的リハビリ治療を行って、日常生活機能の回復を図ります。当院の平均在院日数は、全国平均と比較して長くなっています。これは、急性期治療に追加して、社会復帰に向けた「運動機能の回復」「日常生活機能の回復」の治療期間が含まれるためです。具体的には歩行訓練、炊事・洗濯など日常動作訓練、装具を用いた動作訓練等を行っています。
 2番目に多い「胸椎・腰椎骨折の保存加療」も、大腿骨骨折と似た経過で治療を行います。平均在院日数も同様の理由で長くなっています。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110070xx0200xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 17 8.00 7.31 0 74.94 経尿道的膀胱腫瘍手術
110310xx99xx0x 腎臓または尿路の感染症 手術なし 定義副傷病 なし - - 12.34 - -
180040xx99x0xx 手術・処置等の合併症 手術なし 手術・処置等2 なし - - 9.74 - -
11012xxx99xx0x 上部尿路疾患 手術なし 定義副傷病 なし - - 5.39 - -
110200xx02xxxx 前立腺肥大症等 経尿道的前立腺手術 - - 9.73 - - 経尿道的前立腺手術
※症例数が10件に満たない項目については、規程により数値を掲載していません。

 膀胱癌や前立腺癌に係る診療が中心となっており、実績が多い治療では膀胱癌に対する経尿道的切除術が行われています。この手術は、腫瘍を切除する治療目的と同時に腫瘍の性質を調べる検査目的としても行われています。膀胱がんの好発年齢は50歳~60歳代とされていますが、当院はがん患者さんの年齢が比較的高くなっています。高齢期は若い世代に比べて、がんの発症リスクが高くなると言われています。今後、地域の高齢化に伴い、がん患者さんの増加が予想されることから、当科でも看取りを含む幅広い治療に対応できる体制を整えていきます。
婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120060xx01xxxx 子宮の良性腫瘍 子宮全摘術等 13 9.46 9.91 0 47.62
120100xx01xx0x 子宮内膜症 子宮全摘術等 定義副傷病 なし - - 7.70 - -
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む。) 腹腔鏡によるもの等 - - 6.37 - - 腹腔鏡下卵巣腫瘍切除術
120110xx99xx0x 子宮・子宮附属器の炎症性疾患 手術なし 定義副傷病 なし - - 8.00 - -
120070xx01xxxx 卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む。) 開腹によるもの等 - - 10.27 - -
※症例数が10件に満たない項目については、規程により数値を掲載していません。

 婦人科で最も多い症例は、「子宮筋腫」に対する開腹手術です。年齢や症状、妊娠希望の有無などに応じて、子宮全摘術や子宮筋腫核出術などが行われています。
 次に多いのが、「卵巣子宮内膜症のう胞」や「卵巣良性腫瘍」に対する手術です。開腹手術の場合もありますが、腹腔鏡による子宮附属器腫瘍摘出術が最も多いです。
 婦人科では約8割が手術目的の入院です。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 14 - - 15 - 10 1 7
大腸癌 - - 13 17 - 10 1 7
乳癌 10 14 14 16 - - 1 7
肺癌 - - - - - - 1 7
肝癌 - - - - - - 1 7
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
※症例数が10件に満たない項目については、規程により数値を掲載していません。

 当院では「消化器病センター」を設置し、消化器がん(胃がん・大腸がん)については内科と外科が連携し、Ⅰ~Ⅳのそれぞれのステージに適した治療を行っています。Ⅱ期までの早期がんの患者さんについては、内視鏡による治療を中心に行っています。Ⅲ期以降の患者さんについては、外科的手術や抗がん剤の投与等、それぞれ症例に合わせた柔軟な医療を提供しています。
 乳がんについては、早期であるⅠ~Ⅱ期の患者さんが多い一方、Ⅲ期以降のがんが進行している患者さんも多くみられます。当院では、3D撮影が可能なデジタルマンモグラフィーを活用し、最新の設備のもと早期発見・早期治療に努めています。また、Ⅲ期以降であっても、手術やホルモン療法、化学療法など患者さんに最適な治療を行っています。
 平成26年度以降、当院では「大腸がん」や「乳がん」の患者さんが増加傾向にあります。がんの患者さんも60代後半~70代と高齢な方が多いです。高齢化が進む松本医療圏では、こうした高齢のがん患者さんが増えてきています。当院では今後、手術等を中心とした急性期のがん治療に限らず、お看取り等を含めた終末期のがんケアについても充実を図っていきたいと考えています。
 肺癌や肝癌についても治療を行っていますが、件数が10件に満たないため掲載していません。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 14 7.64 58.21
中等症 48 17.44 80.98
重症 11 21.00 79.18
超重症 - - -
不明 - - -
※症例数が10件に満たない項目については、規程により数値を掲載していません。

 患者数については「中等症」が最も多く、「軽症」「重症」は、ほぼ同数となっています。免疫機能や身体機能の低下により、肺炎の発症機会が高まる高齢の方は、症状が重くなることもあり、「中等症」や「重症」の肺炎では平均在院日数が長くなっています。肺炎の治療では、「抗生物質」と呼ばれる薬剤を使った点滴治療が一般的です。入院期間中に点滴や適切な栄養管理等を行うことで、患者さんの症状改善を図り、在宅で安心して生活を送ることができるよう心がけています。

 肺炎は、日本人の死因第三位であり、死亡者の95パーセント以上が65歳以上の方と言われています。このため65歳以上の方は、肺炎予防や症状の軽減が期待される「肺炎球菌ワクチン」を接種することができます。詳しくは、お住まいの市町村にお問い合わせください。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 28 40.21 77.36 4.35
その他 18 72.11 82.11 4.35
 脳梗塞については、「脳神経外科」及び「リハビリテーション科」が連携して治療にあたっています。脳梗塞の治療では、まず脳の血流を良くする薬や、脳を保護する薬を投与し治療を行います。脳梗塞を発症し、当院に搬送される患者さんの多くは、2週間~3週間程度の集中的治療を経て、リハビリを重点的に行う病棟に移動します。リハビリ病棟では、少しでも患者さんの運動機能が回復するようリハビリの専門スタッフが指導を行い、自立した生活を送ることができるよう支援します。
 「その他」の区分に含まれる患者さんは、約8割が他院から転院された方です。長期の入院が見込まれる重症患者さんが多く、リハビリ病棟でリハビリを行う傍ら、患者さんの退院後の生活環境を整えるための準備を進めています。脳梗塞は、今後この地域で増加が予想される疾患です。リハビリ専門病棟を有する当院の特徴を生かし、引き続き患者さんの退院後の生活を見据えた医療を提供していきます。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 203 0.52 2.46 0 66.15 大腸ポリペクトミー
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 21 0.86 15.24 0 89.29
K654 内視鏡的消化管止血術 16 1.00 8.50 0 75.44
K722 小腸結腸内視鏡的止血術 11 0.64 8.45 0 74.09
K6871 内視鏡的乳頭切開術(乳頭括約筋切開のみ) 10 3.90 22.30 10.00 71.80
 患者さんの体への負担が少ない内視鏡手術は、全国に普及し、多くの病院で行われています。当院でも年々増加傾向にあり、大腸ポリープ等に対する「ポリープ切除術」の29年度実績は200件を超えました。内視鏡は、消化器系の治療で多く使われており、大腸をはじめ、胃や十二指腸の病気にも活用されています。代表的な例は、早期胃癌の切除術や「出血性胃潰瘍」や「十二指腸潰瘍」に対する止血術です。止血術については、当院でも29年度は16件行われました。
 内視鏡を活用した「胆道ステント留置術」や「乳頭切開術」は、主に「胆嚢」や「胆管」の病気に対して行われる手術です。「胆管」は肝臓と十二指腸をつなぐ管のことで、肝臓で作られた「胆汁」の通り道となります。この胆管が「がん」や「結石」によって塞がれてしまうと、「胆管」に詰まった「胆汁」が感染を起こし、「胆管炎」等の病気を引き起こします。こうした症状を防ぐために、原因となる「結石」を取り除いたり、「ステント」と呼ばれるチューブを入れて、胆汁の通り道を確保するのが、「胆道ステント留置術」や「乳頭切開術」です。こうした手術が、当院でも29年度は計31件行われました。
 消化器系の病気は全国の急性期病院で最も多く取り扱われている疾患です。当院では、今後も内科医と外科医が連携して治療を行うことで、内視鏡を活用した質の高い医療を提供できるよう努めてまいります。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6335 鼠径ヘルニア手術 30 1.10 3.23 0 67.97 鼡径ヘルニア全身麻酔
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 21 1.00 3.90 0 57.67 腹腔鏡下胆摘出術
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 12 0.17 8.33 0 84.50
K4762 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 10 1.10 7.10 0 67.10 乳房部分切除術
K4763 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 10 1.50 8.80 0 58.10 乳房全摘術
 外科で最も多い手術は、「鼠径ヘルニア手術」になります。鼠径ヘルニアは一般的には「脱腸」とよばれ、本来お腹にあるはずの腹膜や腸の一部が、鼠径部などの筋膜の間から皮膚の下に出てくる病気です。入院当日に手術を行い、入院4日前後で退院するといった症例が一番多くなっています。
 2番目と3番目に多い「腹腔鏡下胆嚢摘出術」と「内視鏡的胆道ステント留置術」は、胆石によって起こる胆管炎や胆嚢炎の治療になります。経過の1例としては、内科にて胆管に詰まった胆石を内視鏡で取り除き、胆汁の流れを良くするステント(管)を留置します。症状が落ち着いたところで外科へ再入院し、腹腔鏡で胆嚢自体を摘出します。
 4番目と5番目に多いのは「乳腺悪性腫瘍手術」になります。当院には乳がんを専門に治療する医師のほか、切除された乳房を再建する形成外科の医師もおり、様々なタイプの乳がんに連携して治療にあたることができます。
産科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8981 帝王切開術(緊急帝王切開) 51 1.41 8.10 0 34.10
K8982 帝王切開術(選択帝王切開) 43 4.72 8.09 0 32.86 帝王切開術
K9091 流産手術(妊娠11週まで) 11 0 0.18 0 31.55
K901 子宮双手圧迫術 - - - - -
K9122 子宮外妊娠手術(腹腔鏡) - - - - -
※症例数が10件に満たない項目については、規程により数値を掲載していません。

 産科で最も多い手術は、「帝王切開」です。帝王切開には「緊急帝王切開」と「予定帝王切開」があります。分娩前や分娩中にお母さんや赤ちゃんに何らかの異常が起きて、自然分娩が困難と判断された場合に行うのが、緊急帝王切開です。予定帝王切開は、逆子や前回の分娩が帝王切開だった方など、あらかじめ自然分娩が困難と判断された場合に計画的に行う帝王切開です。
 次に多いのは、「流産手術」です。流産手術とは、胎児死亡後も出血などの自覚症状がない稽留流産や子宮内容物が一部残存している不全流産などに対して行われる子宮内容除去術のことをいいます。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K134-22 内視鏡下椎間板摘出(切除)術(後方摘出術) 15 4.33 9.53 0 48.13
K0462 骨折観血的手術(前腕)<内固定を行なう> 等 14 2.29 17.71 0 55.50
K1425 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(椎弓切除) 13 2.85 13.23 0 72.08
K0483 骨内異物(挿入物)除去術(前腕)<挿入物> 等 - - - - -
K0461 骨折観血的手術(大腿)<内固定を行なう> 等 - - - - - 大腿骨折観血手術
※症例数が10件に満たない項目については、規程により数値を掲載していません。
※手術後、リハビリテーション科へ転科した症例については、リハビリテーション科にて集計しています。

 1番多い手術は「内視鏡下椎間板摘出(切除)術(後方摘出術)」です。背中の骨と骨の間にあるクッション(椎間板)が何らかの原因で壊れ、背骨から飛び出して神経を圧迫することがあります。これを「椎間板ヘルニア」といい、飛び出した椎間板を内視鏡を使って取り除く治療がこの手術です。平均年齢が48歳と、若い方が多いのも特徴です。
 2番目に多い手術は「前腕骨折の観血的整復術」です。転倒やスポーツ外傷、交通外傷などがきっかけで起こります。経過の一例としては、入院2日目に手術を行い、術後数週間で退院となります。
 3番目に多い手術は「椎弓切除術」です。背骨の中にある脊髄や神経の通り道が、何らかの原因によって狭くなり神経が圧迫される病気を「脊柱管狭窄症」といいます。圧迫している骨(椎弓)を切除し、神経の通り道を拡げる治療がこの手術です。平均年齢が72歳と、高齢の方に多いのが特徴です。
婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K877 子宮全摘術 14 1.00 7.29 0 48.50
K867 子宮頸部(腟部)切除術 13 0.92 1.00 0 41.69 子宮頚部円錐切除術
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両)(腹腔鏡) 12 1.33 4.58 0 33.08 腹腔鏡下卵巣腫瘍切除術
K8881 子宮附属器腫瘍摘出術(両)(開腹) - - - - -
K877-2 腹腔鏡下腟式子宮全摘術 - - - - -
※症例数が10件に満たない項目については、規程により数値を掲載していません。

 婦人科で1番多い手術は、「子宮全摘術」であり、主な疾患は子宮筋腫です。
 2番目に多い手術は、「子宮頸部(腟部)切除術」です。子宮頸部(腟部)切除術とは、LEEPという電気メスを使った円錐切除術のことをいいます。主な疾患は、子宮頚部高度異形成です。
 3番目に多い手術は、「腹腔鏡による子宮附属器腫瘍摘出術」です。腹腔鏡による手術は、術後の痛みが少ない・手術の傷が目立たない・早期の社会復帰が可能・術後の癒着が少ないなどのメリットがあり、患者さんの身体的な負担を軽減することが大きな目的の手術です。主な疾患は、卵巣子宮内膜症のう胞や卵巣良性腫瘍です。
リハビリテーション科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(大腿)<内固定を行なう> 20 3.45 58.25 5.00 82.95 大腿骨折観血手術
K0811 人工骨頭挿入術(股) - - - - -
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 - - - - -
K142-4 経皮的椎体形成術 - - - - -
K1425 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(椎弓切除) - - - - -
※症例数が10件に満たない項目については、規程により数値を掲載していません。

 リハビリテーション科は、整形外科からの転科が7割を占めているため、手術も整形外科領域の治療が上位に来ています。最も多い手術は「大腿骨骨折の観血的手術」です。急性期での治療後、集中的なリハビリ治療を提供し、日常生活機能の回復を図って行きます。平均年齢が80歳を超えており、高齢の患者さんが多いことがわかります。術後在院日数が長いのは、急性期治療に追加して、社会復帰に向けた「運動機能の回復」「日常生活機能の回復」の治療期間が含まれるためです。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036ロ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(その他) 17 1.00 6.00 0.00 82.95 経尿道的膀胱腫瘍手術
K843 前立腺悪性腫瘍手術 - - - - -
K840 前立腺被膜下摘出術 - - - - -
K8412 経尿道的前立腺手術(その他) - - - - - 経尿道的前立腺手術
K821 尿道狭窄内視鏡手術 - - - - -
※症例数が10件に満たない項目については、規程により数値を掲載していません。

 膀胱癌に対する「経尿道的切除術」が最も多く行われています。この手術は内視鏡を膀胱内に挿入し、腫瘍を削ぎ取るもので、がんの診断と治療を兼ねて行われます。患者さんの体への負担が少ないため、入院期間が1週間程度と短くなっています。早期のがんで、病変が取り切れていれば治療が完了することもあります。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 - -
異なる 10 0.33
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 31 1.01
異なる - -
※症例数が10件に満たない分類については、規定により数値を掲載しておりません。

 当院で「手術・処置の合併症」に該当する症例は、定期的に透析治療を受けられている方の合併症(シャント閉塞など)、ポリペクなど内視鏡による手術や検査の合併症(後出血など)、外科手術後の合併症(術後感染症など)、カテーテル留置が原因による尿路感染症などです。これらは事前に予期されているものであり、数日で軽快・治癒しています。
 手術や処置などは合併症を起こさないよう細心の注意を払って実施していますが、どうしても一定の確率で起こってしまいます。起こり得る合併症については、事前に可能な限り患者さんに説明したうえで、手術や処置の実施に同意をいただけるよう努めています。
更新履歴
2018/10/1
病院指標を公開しました。